読書記:大竹文雄著「経済学的思考のセンス」

著書前半は「オリンピックの国別メダル予測」「イイ男は結婚しているのか」といった、社会の様々な事例を「経済学的」に因果関係分析を行う話。
後半は年金問題、年功賃金や成果主義、所得格差などの問題をインセンティブの視点から解いていく内容。
著者がこの本を通じて伝えたいことは、
「経済学的思考のセンス」とは、インセンティブの観点から社会を視る力と因果関係を見つけ出す力。
自分は、そもそも経済学って?需要と供給曲線??というレベルなので、何が経済学的なのかよく分からないが、最後まで読んで何とな~く感じるものはあった。
例えば、
・因果関係を過去、現在、未来の時系列予測も含めて見渡して、しっかり分析する。
・金銭的/非金銭的インセンティブの観点で人が合理的に判断をすると仮定して、事象をモデル化する
ということか。
HRMの学びに通じるものとしては、
HRMは企業の戦略に従うものである一方で、その制度自体は個人のインセンティブ視点で構築されているものだということが理解できた。
また、
~機会の不平等や階層が固定的な社会を前提として所得の「平等主義」を進めるべきなのか、
「機会均等」を目指して所得の不平等そのものを気にしない社会を目指すべきなのか~
~経済学では犯罪を犯した時の便益とコストを比較して、便益が大きいときに犯罪を犯す~
など、深く考えさせる記述もあって、読み応えがあった。

ユーザレビュー:
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大竹文雄『経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには』

経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには中央公論新社このアイテムの詳細を見る
今回は、大竹文雄『経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには』を紹介します。インセンティブ的観点(金銭/非金銭:教育・倫理観)から社会を見る力と経済データから因果関係を見つけ出す力こそが経済学的思考があるといえる。その分析例(男女の結婚問題、プロスポーツ選手やエンジニアとインセンティブ、日本的雇用慣行(年功賃金)、所得格差と平等・不平等)が本書に述べられていることである。わかりやすいと言えばわかりやすいが、自分がこういう風に分析できるかと言えば難しいな。
アメリカのプロスポーツはどちらかといえば、全体で共存することを選んでいるように思える。特に、アメリカンフットボールはそうである。どちらかというと、お金持ちのチームとお金のないチームとの差をなるべくなくそうとしている。リーグ全体で盛り上がらないと、全体のパイは小さくなるからである。
若年世代は所得格差が大きくなっている。ニートやフリーターの人たちと正社員で働いている人は所得格差だけでなくさまざまな保障面で差がでている。これが完全な階層関係につながらないように、セイフティネットの充実や教育や優秀な才能がある人をうまく救い上げるなど力を入れてほしい。

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