70歳のペンフレンド

今年に入ってから、70歳のペンフレンドが出来た。
まさか自分がそんな男性と文通し始めるとは。。。
相手は、亡き祖父の姉の息子、つまり祖父の従兄。かなり遠い親戚なんですけど。。。
まさかこんな展開になるとは!ちょっと最近の切実な悩みなのさ。
きっかけは、年末の祖母の葬儀。
前回いつお会いしたか忘れたが、当時僕が乗っていたFIATパンダの印象が強かったらしく、「ほう、今はALFA147かね」という会話ではじまった。その小父さんも車好きで、昔はカレラに乗ってる記憶がある。そして今、祖母の葬儀には黄色いZ34で現れた。。。
で、祖母の葬儀当日、確か火葬場での待ち時間に小父さんが僕に近づき、
「まあ、車好き同士今後とも語り合いたいから、住所を教えてくれないか?」
今日から君を『ロメオのお兄ちゃん』と呼ぶよ!」
と囁かれたのだ。
そんなに呼ぶ機会もないでしょ、と思ったが断る理由もないので、素直に応じて住所をメモしてあげる。
ちなみにアルファじゃなくて「ロメオ」という略し方は嫌いです、、とも言いたかったが、言えず。
最愛の祖母が荼毘に付されている時に、まだこっちは泣きたいんですけどって時に、予想外の展開。
うちの親をはじめ親戚が口を揃えて「あの小父さんは変わり者」と言う。まあ、確かに見た目からして怪しい雰囲気あり。うちの親からも、まあほどほどの付き合いにしときゃーよ、と忠告。まあ確かに。
それから2週間後、さっそく手紙が届いた。達筆な毛筆で車への思いが綴られていた。
それをきっかけにこの3カ月間に、手紙のやりとりが5回。ものすごい分量。
僕も相手に合わせちゃうタイプやから、それなりに真剣に書いてる。
最初は手紙が届く度に気が重かったけど、最近はちょっとちょっと嬉しかったりする変な心境。
その間、歴代の愛車への熱き思いだとか、時には馬力の計算方法やトルクとの関係式の問題が出されたり。。。ついには、手書き30ページに及ぶ車の構造の教科書まで自作で作ってもらったり。。。これはすごかった。DOHCや可変バルブの構造図が手書きで!でもって結構分かりやすいんだよな。
で、ついに今度、、、「愛車Z34で伊豆にドライブして、下田港で新鮮な魚を食べ、宿で一晩車について語り明かそう!」というお誘いが。。。70歳の小父さんと旅行かよ。。。
正直二の足を踏む気持ちの悪さがあるんだ。な~んか不気味な雰囲気の小父さんだから。
でも一方で、今の僕との文通を本当に楽しみにしてくれてるのも事実。
彼の家族環境がどうなっているか知らないが、たぶん一人暮らし。頼りになる身近な親類も少ないはず。
で失礼ながら頭をよぎるのが、今の高齢化社会の現象である「孤独死」「無縁死」の問題。
ちょっと前にNHKスペシャルでやってた「無縁死」が年間32,000件あるって話。(前にブログでも書いた)
一人で居るのほうが気楽で好きな人もいる。本人の問題もあって、結果一人になっている人もいる。
特にこの小父さんは率直に言って性格に問題あり、と思うんだ。
いい車ばかり乗り換えてるんだから、お金には困ってないはずだし。
でも、これまでの人生がどうであれ、高齢になった今、社会とのつながりが薄れている(であろう)小父さんが存在している。自分の近くに。
毎回、あれだけの分量の手紙を書いてくれるんだから、僕に対するつながり欲求は相当なもの。(のはず)
自分の思い過ごしかもしれないが、この文通は彼の「生きがい」になってる。
というわけで、いきなり二人で旅行に行くのは、「またいつか!」とやんわり断りはしたが、今の自分の心境は「彼が元気なうちにいずれ行くべき」と思い始めている。
人生後半を寂しく暮らすってのは、やっぱりイヤじゃん。
僕が好きな言葉「一期一会」に従おうと思う。
ましてや尊敬する祖父の従兄であり、しかも最愛の祖母の葬儀がきっかけで再会したわけだから。
ボランティア精神とか自己犠牲といった気持ちじゃなく、遠いとはいえ親戚同士の当たり前の付き合いとして、これからも付き合っていこうと思う。
いやあ、でもほんと不気味なおっさんなんだよな~~。