鹿毛康司著「愛されるアイデアの作り方」

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エステーのCM(鹿毛さんが作るCM)は、
うまく言葉で表現できない味を感じる。

圧倒的に面白いわけではない。
おしゃれでも、センスを感じるわけでもない。

けれど、頭に残る。
テレビで流れれば、
ついつい目を奪われる。

本能を刺激される、という感じ。

その不思議な謎を解き明かすべく、
以前、とあるイベントで
鹿毛さんと30分ほどお話し出来たことがある。

そのときに、僕に熱く語ってくれたことと、
この本に書いてあることは同じ。

それは、
とことん生活者のことを考え、分析し、
根っこにあるインサイトを解き明かす。

ロジカルに、ロジカルに。
そして、最後の最後にジャンプする。

そのジャンプで、
戦略は跡形もなく見えなくなるが、
それで良い。
なぜなら生活者にとって、
企業側の戦略なんて
関係ないから。

 

そこで表出したクリエイティブアイデアは、
思いつきでもなんでもなく、
ロジカルに積み上げたからこそ出てきたアイデア。

例えば、米唐番のCM、
「良く分からない踊り」も、
お米に対するリスペクトや日本文化への誇り、を
表現したもの。
日本人の本能に訴えかける映像に仕上げた、と。

説明をしている映像ではないし、
説明ができない映像。

成功するCMは
論理で説明がつかない部分で
感情に訴えている。

そんなお話を聞いた時、
そんなプロセスでて作られる映像もあるのか!と
感動した。

 

あとは、「想い」について。

物事をロジカルに考えれば、
誰だって同じ答えに行き着く。

そして、ロジカルに考えれば考えるほど、
「やらない理由」「躊躇すること」も出てくる。
だけど、やる。
その想いを持てるかどうか、
結局そこで差がつく。

例えば震災直後のCM作り。

震災の映像が脳裏に焼き付いた鹿毛さんは、
すでに4月2日にリスボンで撮影をしていた。

そして、震災を連想する映像にしないよう、
水はもちろん、斜め上からの撮影ダメ、と。
そこに気づく力。

2011年の3-4月は、まだ自分なんて、
何ともいえない無力感に苛まれていただけなのに。

すぐ行動に移す力。

よいCMは、
「想い×企画×制作」

想いが大事。
広告主の社長の想い、が、大事。
広告力は、その会社の社長力を超えない。

コンセプト、インパクト、
などという言葉を使い、
表層的なアイデアを考えるなんて、想いがない。

お客様と向き合う、
お客様と目線を合わせる
それこそが、
考える、ということ。
※工場見学の綿菓子の話

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