藤井保文/尾原和啓著「アフターデジタル」


OMO(Online merges with Offline)
オンラインが、オフラインを飲み込む世界。

「リアル前提のビジネスを、部分的にデジタルに置き換える」という、ありがちなデジタル化ではなく、

「デジタルでの日々の接点が前提としてあり、リアルな世界は(デジタルが活用された上で)、その顧客接点の一部という位置づけになる。」

図にするとこう。

このOMOというという言葉を始めて聞いたのは、
2017年秋、まさに著者である藤井さんをはじめとしたビービットの皆さんやトヨタ自動車の皆さんと、北京の自動車関連メディア「ビットオート」に訪問した時。

正直、その時はいまいちピンと来なかったんだけどね。
ようやく、じわじわと来た。

競争原理の本質は、「顧客体験」にある

生活者との接点は単一ではなく、「常時寄り添い型」になっていく。
商品さえも、あくまで顧客体験の手段のひとつ、になる。

だから当然、商品やサービスを売って終わり、ではない。

カスタマジャーニーの捉え方は、当然のことながらこんな感じ。
仕事上では、左側の狭義のカスタマージャーニーを使わざるを得ないことが多いが、継続的な顧客体験という意味では、本来は右のほう。

自動車業界でいえば(ビットオートのビジネススコープでいえば)、
免許を取る、クルマを買う、ときには違うクルマを使う、駐車場に止める、洗車をする、車を売る、買い替える・・・
といったカーライフすべての接点を包括し、データを集め、生活者に対し最良の顧客体験を提供できるように磨き上げる。

すべては顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)。
それを裏で支える行動データ。

生活者にとっては、オンライン/オフライン区別なく、便利なブランド体験を継続的に続けていくだけ。

これがアフターデジタルの世界。

「モノ」の価値、「リアル」の価値

アフターデジタルの世界では、産業構造ヒエラルキーが変わる。

どんな価値提供に対しても一番顧客に近い存在である「決済」のプラットフォーマーが顧客接点を握る。中国ではアリペイとWeChatPay。日本ではペイメント市場は活況だが、そもそもこの市場自体が日本で決済のデフォルトになるのか微妙だけど。
でそのプラットフォーマーの上に各種サービサーが乗っかる。すべてのサービスはアリペイのアプリ内から立ち上がる、という世界がすでに定着している。

そして、価値提供を行う物理的ツールである「メーカー」は下請けになり下がる。MaaS世界における自動車メーカーと同じ構図。

リアル世界は、アフターデジタルにおいてはタッチポイントのひとつに「なり下がる」だけではない。

生活者の立場では、よりオンラインとオフラインの垣根なく、より便利なほうを選択すればよいので、企業側からしてもその2つを区別して考える必要はない。

生活者は、その時々で便利な接点を使う。だけの話。

北京に行った際に訪れた、アリババが経営するスーパー「フーマー」。
物流倉庫とスーパーと宅配基地が一体化したような食品スーパー。
魚介類などの生鮮食品も売っていて、スーパーから30分以内なら宅配サービスがある。

「あそこのスーパーで泳いでいる魚介類が届けられる」という安心感を生むことが出来るのはリアル店舗があるからこそ。

さらにリアル店舗での行動も、どんどんデジタルデータ化され、まるでサイト解析と同義の行動分析を行うことでリアル行動の高速改善が可能になるし、オンラインサービスへの改善にも貢献する。そうなれば一層オンライン/オフラインの垣根はなくなる。


データこそ、電気や水道のような社会インフラ。

中国ではその認識で、データはみんなのもの。共有してこそ価値がある。

日本では妙に「個人情報」に対する得体のしれないリスクに、過度に慎重になっている気がする。みんな、どんなリスクがあるのかちゃんと考えないまま、分からない何かに対してただ恐れているだけなのでは。

欧州のGDPRも実は規制ありきの法律ではない。

例えば、英国で始まった銀行口座のポータビリティは、携帯のナンバーポータビリティでキャリアを変えても電話番号が変わらないと同じように、預金口座の銀行を変えても、口座番号はもちろんのこと毎月の自動振り込み設定なども変更なしで移行できるという便利なもの。このようにデータが流動化することでリスクも高まるため、その懸念からGDPRのような規制が生まれた。
決して規制ありきの法律ではなく、規制緩和をしていくうえで発生するリスクを取り締まるという発想。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です