芹澤健介著「コンビニ外国人」


なんでこんなにコンビニ店員が外国人なんだ?
会社近くのお茶の水や秋葉原だと、店員もお客さんもみんな外国人、みたいな状態になってるし。で、下手な日本人よりも接客が丁寧だったりする。
このところは中国人よりもベトナムとかの東南アジア系の方々が目立つ。

どういうことになってるんだ?
増えているのはコンビニ店員だけにあるまい。
見えないところで働く外国人労働者はどれくらい増えているのか?
など、ふと疑問に思い読んでみた。

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コンビニで働く外国人は4万人。コンビニ店員全体の比率でいうと20人に1人が外国人だそうだ。都市部では、この比率はもっともっと高いだろう。

コンビニが人手不足なのは想像にたやすい。
24時間営業だし、仕事は大変そうだし。
はっきり言って、自分はコンビニバイトが務まる自信がない。同時進行でいろいろ仕事あるし、客から文句言われやすいし、マジで大変そう。尊敬する。

かといって時給が高いわけではない。

一方で、人員供給側の視点では、そもそも日本の若者が減っているし、同じ時給ならコンビニよりカラオケぼっくスで働くほうが楽、とかで、積極的にコンビニバイトを選ぶ若者は少なそうだ。

その穴を埋めているのが外国人。

しかも外国人からすれば、対面接客で日本語を覚えられる環境にある。工場で働くよりも日本文化を学べる機会にもなる。店によっては賞味期限切れの弁当を食べられる、というメリットがあるようだ。

だから外国人にとってはコンビニバイトが人気だ。
人手不足だから面接で落とされることもまず無いようだ。

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話はここで終わらない。
このコンビニ店員の外国人化の背景に、外国人労働者に関する実状とシステムの歪みがある。

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日本は「移民」を認めていない。(移民の定義自体がかなり多様だが)

一方で、在留外国人は増え続けており現在250万人。日本の人口に対して約2%だ。その在留外国人の中の「労働者」も120万人を超え増加の一途。

外国人の技能実習生が育てた米と、技能実習生が漁ったカツオを材料に、
技能実習生が働く工場で加工されたおにぎりが、コンビニ外国人の手によって我々の手に届く。今はそんな世界。外国人労働者がいなければ経済は成立しない。

日本政府は、移民は認めないが、人手不足を補う外国人労働者は積極的に迎えよう、という歪んだスタンス。
その外国人労働者を積極的に迎え入れる政策が、技能実習制度や、留学生30万人計画。

技能実習生は、実習生と事業主が直接契約を結ぶ雇用形態。日本語を覚える機会も少ない閉ざされた劣悪な労働環境で安い賃金で働かされるケースも多く、失踪がよく起きるのはこの制度で来日している実習生。

一方でコンビニ外国人のほとんどは留学生のアルバイト。
留学生は専門学校や大学よりも、圧倒的に「日本語学校」への留学が多い。
日本語学校は全国に600校以上。近年ハイペースで伸びてきている。私大の数より多い。授業料は年間70万円前後。

特にベトナムでの日本語ブームに便乗した日本語学校ビジネスは、現地からの留学生斡旋のバックマージンが過熱するなど、人狩りな様相を呈している。

留学生は、出入国管理法によりアルバイトは週に28時間までと決められている。1日4時間。時給1000円として月に最大12万円ほど。
しかし、この週28時間労働だけでは授業料は賄えないし、コンビニ側としてはもっと働いて欲しいだろうから、実情はこのルールを冒して働く実態もある。

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日本の人口減、労働人口減を何とか補っているのが外国人労働者。

知らなかったが、在留外国人も「日本の人口」に加わっているのだそうだ。
日本の人口の減少カーブがまだ緩く収まっているのも、実は在留外国人の数が急速に伸びているからではなかろうか。

この先、日本人の人口減少が加速する中で、歪みのない法整備を整えなければ、「外国人労働者の方々にも見捨てられる日本」になりかねない。そう感じる。
今の経済の実状を考えると、そうなるとアウトだ。