NHK取材班著「暴走するネット広告」


昨年11月26日、JAA(日本アドバタイザーズ協会)が
デジタル広告に関する長年の課題(特にアドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティ)に対して、広告主並びにパートナーが取るべき原則を発表した。
デジタル広告の課題に対するアドバタイザーズ宣言

いよいよ今年、年間広告費でテレビ広告費を抜くことになるであろう、デジタル広告費。年間で約1.8兆円。
そのうちの500億~1,000億がアドフラウドによる不正な広告取引として闇に消えているともいわれている。

現状は、これらの課題に対して問題意識を持つ先進的な企業ほど、広告主自らがコストをかけて健全な取引を目指して取り組んでいる実情がある。そうした中でのこの発表は、広告主側は今後は毅然としたスタンスで臨むからね、という意志表明と受け止めた。

私たち広告主も協力するけど、エージェンシーやメデイアのみなさんが頑張って何とかしてね、と。

問題解決に向けたこの動きが加速したきっかけとなったのが、約2年に渡るNHKクローズアップ現代の徹底取材によるものだと思う。

業界の関係プレーヤーは商流に入っている以上、被害者でもあり加害者でもあるので、長年の問題ではあったものの、いまいち自浄作用というか解決に向けた動きが働きにくかったので、今回のNHKによる第三者のメスの影響は大きいように思う。

自分の会社(エージェンシー)も年間数十億のデジタル広告の扱いがあるわけで、犯罪の片棒を担いでいる捉えられても仕方ない。
だからこそ、まずエージェンシーが行うべきは、
商流に入っている各プレーヤーの付加価値をしっかり可視化させることだ。
広告主に対する説明責任を負う立場として、広告取引のバリューチェーンにおけるコストの透明性と言い換えても良い。
そのうえで、不正ゼロを目指した監視機能と改善を行っていく。

この状況はピンチでもあり、逆にエージェンシーの存在意義を高める良い機会でもある。