小霜和也著「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」


この本、めっちゃ良かった。小霜さん、やっぱすげえ。
自分の境遇や悩みにビタッとハマったのと、
目の前の仕事のヒントにもなったのと。

経営とはマーケティングである、とよく聞かれるようになった。
ネスレの高岡さんも、刀の森岡さんも言っていたような。

これまでは、マーケティングの4Pと言いながらも、
そのうちのPromotionがマーケティングであると狭義に捉えられることが多かったし、さらにはそのPromotionの中のごく一部の機能が、代理店の「マーケ」だったりする。狭々義である。

そんなんではなく、マーケティング、つまり「4Pすべて」を包括的にコントロールできるのは、いまの組織の在り方では、社長しかできませんぜ、というお話。

大企業病の中でやりくりするスキル
決定権者の意向が伝わらない病、決定権者の何気ない一言が伝言ゲームで巨大な雪だるまとなって現場に落ちてくる病、保身が優先され組織間調整で誰もボールを持たない病、優秀な決定権者にバカにされないよう、無難な案しか決裁に上げない病、などなどいろんな大企業病が発症している中、
そんな中で仕事を何とかやりくりするのが代理店のスキルである。
ふと我に返って、この仕事は世の中に貢献しているのか、と自問する瞬間が、たまにある。いや、よくある。

組織の成果追求よりも、最後の最後は自己保身を優先するのがサラリーマンであるとした場合、誰もがその行動は合理的判断によるものであり、誰も責められるものではない。誰かの問題ではなく、組織の在り方の問題である。
つまり、社長の問題である。

いい加減、本質的にならないと
上記のような大企業病の珍道中に付き合うのが代理店スキルであり、珍道中であればあるほど、代理店としての存在価値も高まる、という皮肉な世界。
しかしながら、いい加減、仕事の進め方を正すべきだ。生産性が悪すぎる。仕事の精度が悪すぎる。アウトプットの質も上がっていかない。悩みが尽きない。禿げる。クライアントのせいにしたところで、何も解決しない。自らが動かねば。

ミドルファネル
認知と刈り取りの狭間にある「自分ごととして興味を持つ」というフェイズ。
ここがマスとデジタルの融合という観点でいうと、最も大事だし、コミュニケーション設計をする上でもっとも考え甲斐がある部分。What toSay とHow to Sayの組み合わせレパートリーのバリエーションが豊富。

これまでの広告会社は、1つの商品に対し、ブランド規定や提供価値を1つに収斂させることを、定石にしてきたが、もうとうの昔にその仕事の進め方は筋が良くない。

カスタマーサクセス
事業の成功のためには、「顧客の成功」にコミットし続けるべき、というマーケティング思想。すなわち、商品を売り切って終わりでなく、お客様が商品を手に取り、買って、使い続けるまでのすべての体験において、お客様の(自分では意識できていない)課題を解決することを目指すことだ。
LTVの最大化のためには、実は「顧客満足」を追求するよりも、煩わしさからの解放(Effortless)のほうが、LTVに相関があるそうだ。

例えば、子供を塾に入れたい母親は、子供の成績を伸ばしたいのではなく、勉強しなさい!と自らガミガミ叱ることから解放されたいだけなのだ。

ターゲットインサイトのデータ化
カスタマーサクセス(お客様の成功に貢献し続ける)ためには、顧客との関係性に目を光らせ続けなければならない。カスタマーセンター、チャットセンターのデータ化など、この部分に商機と勝機があるかも。

Mission、Vision、Values
Missionは天から授かったその企業の存在理由。差別化されている必要はない。
Visionは2~3年で達成したい姿。環境により変化し続けるもの。投資判断の材料になるし、従業員をひとつの方向に向かわせる旗印でもある
Valuesは、Visionを達成するためのしの企業独自の資源。「人」こそこれからの時代に超重要。