音部大輔著「マーケティングプロフェッショナルの視点」


音部さんは、言葉の定義を大切にされている方だ。
この方の話を聞いたり、本を読んだりすると、いつもそう感じる。

言葉の定義を大切にすることの意義は2つあると思っていて、

ひとつは、仕事は一人ではできないから、
チームとして、組織として、
言葉の定義がどれだけ「共通言語化」されているかが大事、だということ

右に敵がいる!と司令部が指示したのに
左を注視していては、すぐに敵に撃たれてしまう。

もうひとつは、言葉の定義をしっかり理解することは、
その言葉が持つ意味を深く、ときには分解してしっかりと理解する、と同義だということ。

言葉の定義を理解するとは論理的に思考することに他ならない。

 

この著書でも、言葉の定義、を発端にしてマーケティングの本質を語っている箇所が随所にあって、とても面白かった。

 

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例えば、強いブランドはなぜ大きな利益をもらたすか、をシンプルに説明した式。

商品とは、工場で作られたモノそのものの「製品」に、ブランド(生活者にとってこのブランドを手に入れる意味)を付与して商品になる。
つまり、商品=製品+ブランド、である。

一方、その商品につけられる価格は、
製品を作るための「原価」に企業の利益を上乗せしたものである。
つまり、価格=原価+利益、である。

そしてその商品を、生活者は、その「価格」で手に入れるわけだから、
商品=製品+ブランド

価格=原価+利益
すなわち、ブランド=利益、である。

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マーケティングとは、
市場創造である。市場創造とは、製品属性の順位を転換し、いい〇〇(exクルマ)、の定義を変えること、である。

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競合とは何か。
何も同じ製品カテゴリーの市場の中だけが競合ではない。
消費者が達成したい目的(ジョブ)のために投資できる資源(財布、胃袋、時間)の奪い合いが発生するものはすべて競合である。
カテゴリー競合ではなく、ベネフィット競合である。

つまり、
市場の中に競合がいるのではなく、競い合う競合がいる場、が市場である

ブランドとは、意味(その中でも重要なのが知覚認識)


ブランドの定義書は、最低限
「市場」「ターゲット」「ベネフィット」で定めてみよう


施策とは?活動とは?
その活動がある場合とない場合でどんな差が出るのか。
その差を最大化することが活動の目的である。
その目的を曖昧にせず、解釈の余地が広い言葉を使わずに考えてみよう。


強いとは?
強いとは、資源を多く持っていること。勝つ可能性の最大化。
強くなるとは、資源をたくさん手に入れること。(資源=時間、資金、ネットワークetc)
優秀とは、素早く資源をたくさん集められること
単位時間あたりの、得られる獲得経験値が高いこと
つまり、資源の交換効率が高い
その資源を短期間で最大限獲得できる人間が「優秀」とされる。

経験年数が少なくても、長い経験を短期間で得られれば成長が早い・強い
個人の力だけでなく、組織として知識収集、知識蓄積、知識流通、が上手くできればよい
組織は高効率のための係数となりえる


成長とは、
昨日できなかったことが、今日出来ること


知識運用のSECIモデル。

個人の暗黙知を他人と共有
それを表出して形式知化
その知見を既存の知識体系と結合化させ、
より発展させ、再度個人の内面に落としむ、
みたいなナレッジマネジメントの循環モデル


自分のマネージャーとしてのミッションは、
戦力のポートフォリオが安定的に確立され、
自律的な成長が続く組織環境を整えること


〇〇さん(偉い人の名前)が言ってるから!
という仕事の動機は一番危険。
その指示は、市場課題に対し論理的に説明がつくか?
論理的、合理的に判断しよう。忖度や感情に任せない。

ハンス・ロスリング他著「FACTFULNESS」

なんか忙しくて、ずっと本読めなかったー

この本、カバンに2か月入ってたわー

人気の本だけど、そんなに自分の刺激にはならなったかも。
とりあえずメモ。

事実に基づいて世界を見よう。
物事を冷静にとらえよう。

分断本能(世界は二分されている?)
ネガティブ本能(世界は悪くなっている?)
直線本能(ひたすら伸びる、という思い込み)
恐怖本能(見えないものは危険?)
過大視本脳(目の前の数字が一番大事?)
パターン化本能(ひとつの例がすべて当てはまる?)
宿命本能(すべてはあらかじめ決まっている?)
単純化本能(世界はひとつの切り口で理解できる?)
犯人捜し本能(誰かを攻めれば解決する?)
焦り本能(いま手を打たねば大変なことになる?)

中根千枝著「タテ社会の人間関係」


自分らしいマネージャー像ってどんなだろう?と日々模索中である。

そんな中、会社における上司と部下の関係の本質論を知りたくて、1967年発刊のこの本を手に取る。
現代にも通用する本質的な本!とamazonが教えてくれたので。

さて、振り返れば、自分が一番成長したなあと思う時期は、「頼りない上司」の下で働いた時だ。

同時にその時は30代前半で目の前の仕事が忙しく、上司が視野に入っていなかった時期でもある。

でも、あらためて考えると、
「頼りない上司」は、部下を(あえて)頼りにしてくれていたのであり、
全面的な温情を受けた自分は、バリバリと前向きに働けていたのだろう。

今思えば本当に最高に頼りない、そして最高の上司である。

この自分の経験同様、
「『温情と依存』によってタテに繋がったエモーショナルな関係」
これこそが日本の社会構造である、という。

まず、集団には「資格」と「場」がある。
資格とは職業や性別などの分類であり、「場」は会社や家族などの所属を意味する。

日本では極めて「場」が重視される。それは、日本で古くから続くイエ社会が起源とされる。

さて、「場」という集団の帰属意識を高めるためには、どうすればよいか?
つまり、「場」の中には多様な「資格」の構成員がいる中で、どう連帯感持たせるか。

それには2つの方法があって、
資格という理性的分類を超える「感情的アプローチ」と、
その場の集団組織をさらに「内部組織として細かく作る」
の2つ

これこそが日本企業の特徴。

タテの繋がりが緊密であるため、
ヨコ(他部署)の調整が極めて難しいのは
この日本企業の特徴だったりする。これは今もほんと変わらない。

あと、こうした集団におけるリーダーのあり方について。

「温情と依存」によってタテに繋がったエモーショナルな関係
これは上司と部下との関係そのもの。

日本企業の特徴として、
人間関係を調整して和を保ち、部下をやる気にさせるのが
リーダーの役割である。(時として論理よりも感情が優先される)

また、部下からの突き上げにさらされている直属の幹部同士を
調整するのが組織の長の役割であり、
その調整に多くのパワーを使うことになる

そういう意味でリーダーは大きな制約を受けている
組織の目的の追求以上に調整にパワーを費やすから。

従ってリーダーは本人の能力よりも人間性が重要だったりする。
戦時中だとしたら、あの人のために死ねる!と部下に思ってもらえる力があるかどうか。

仕事が出来すぎると、部下の存在理由が減少する。
上司と部下は依存関係にあるのだから。
昔の私の上司のように、上司も部下に依存(あえて頼る)せねばならない。

仕事の出来よりも、部下への理解力・包容力を高めることが
日本的リーダーの条件なんだと。

けれど、現代では欧米スタイルに変化してきているし、
仕事や会社に対する価値観も変わっているからなー、と感じる。

ただ、欧米的な能力主義や論理的判断が浸透しているならば、
本来はもっと日本の序列主義が後退していなければならないが、
実際はそうではない。確かに。

日本のタテ文化が社会構造として根強いことを証明している

この本、発刊からかなりの年月が経っているけれど、
日本企業の本質をあらためて理解できる。