平田オリザ著「下り坂をそろそろと下る」


「まことに小さな国が、衰退期をむかえようとしている」
坂の上の雲の出だしから始まったのが印象的。

坂の上の、さらにその上の雲を目指して突き進んだ明治から、ついに、その坂の上から下りることになった今。

きっと急坂。
僕らはその坂をどう下っていけばよいのか。

資本主義の「富」という、ただ一点の頂に登りつめた後、
見下ろしてみれば、裾野は360度に広がっている。
さあ、どこへどうやって下りて行けばよいのか、いまの日本はまさにどんな状態だろう。

どうやら参考になる下り方は、
人足早く下り坂になっている「地方」にあるらしい。

「地方創生」を、いかにお金のバラマキではなく、文化とセンスで有意義に進めることができるか。

若い人は職がなく東京に行く。そして、戻ってきても仕事がない、結婚できない、出会いがない。それが実体だからこそ、地域にいかに「センス」を持ち込むか。

地方を、
終の住処ではなく、
経済活動が行われる場所へ。

いま地方でチラホラと見かける「センス」こそ、それほどのお金がなくとも楽しくイキイキと暮らすための、命の源なのだろう。