ちょうどこの本を読んでいる時期に、
森岡さんの講演があって、
彼の生の喋りを聞いて驚いた。
さすが関西人の、引き込み力のすごい喋り。
最初から話すこと考えてるのか、
喋ってたら考えが芋づる式に思いつくのか、
ほんと不思議。
考えることと話すことを同時にできない自分からすれば、
ほんと羨ましいわ。
しかし、彼について驚いたポイントは、むしろ
著書における理路整然とした分かり易い文章と、
その情熱的な喋りとの「ギャップ」、のほう。
まさに、情を排して合理的な判断をしつつ、
最終的には相手の情に訴えるという、
仕事のデキるビジネスマンの真骨頂だ。
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マーケティングとは、組織革命である、
というタイトルがすべて。
マーケティングとは売れる仕組みを作ること。
売れる仕組みとは、消費者の心の中における
その企業ブランドの好意度(プレファレンス)を高めること。
プレファレンスの最大要因は商品そのもの。
だから、マーケティングの最上流はプロダクトである。
マーケティングを広告宣伝領域だけの狭義に捉えていないか?
商品開発はマーケテングの最も重要な一部分である。
そういった組織構造になっているか?
内向きの事情論でなく、すべての組織が消費者を向いているか?
つまりマーケティングとは組織がすべてであり、
組織は市場環境に準じる。
だからこそ、
どんな会社でも、
市場環境に変化をもたらす震源である、
最終消費者のプレファレンス、を、
常に敏感に察知する必要がある。
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理想の組織とは人体である。
役割に無駄がなく重なることのない臓器(組織)が、
共依存関係で生命を繋いでいる。
臓器同士に上下関係はない。
別に脳や心臓が偉いわけじゃない。
腸が弱れば、脳に運ばれる栄養がなくなるわけだし。
組織も一緒。
一方で日本企業は、優秀な臓器があっても、
その臓器間を流れる神経伝達回路に問題がある。
組織間のコミュニケーション不全。まさに。
コミュニケーション不全を起こす要因は、
日本企業特有の、
年齢差、役割差といった、上下関係が邪魔をして
活発な議論ができないこと。
上司・部下という言葉が悪いのだが、
平社員もマネージャーもどちらも単なる役割でしかなく、
実質は上も下もない。
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本質的に、人間は自己保存の生き物。
変化を拒む本能をもっている。
基本的に個人の利害と組織の利害は相反するものだし、
個人の利害を優先するものだから、
誰もがそのバランスの折り合いをとって働いている。
したがって、組織が最大パフォーマンスを発揮するには、
個人と組織の利害が一致する仕組みや構造を作る、
それが組織のあるべき姿である。
つまり、自己保存本能を逆手にとって
人間本来の力を引き出すアメとムチが大事だ。
緊張感なく楽ができる組織は滅ぶ。
頑張らないと自分が滅ぶ、という自己保存本能を掻き立てる
ことができれば、自ずと人は働く。
人同士のコミュニケーションも自己保存。
自己保存を満たしてくれる、強化してくれる相手を好きになる。
認めてくれる、慕ってくれる、居場所を作ってくれる人
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社員全員が余力を残さず、最大限のパフォーマンスを発揮すること。
それが組織のあるべき姿である。
マネージャーの仕事は部下が最大限良い仕事をすること、である。
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組織内で提案を通すことも、マーケティングである。
社内マーケティングの5つのステップ
・組織文脈の理解(その組織や上司は何をもって評価されるのか)
・目的(達成すべき大義を共有できているか)
・WHO(組織目的に忠実なターゲット、自己保存に忠実なターゲット)
・WHAT(嬉しさ、実現可能性、コストはそれぞれ不足していないか)
・HOW(伝え方。人間は好き嫌いで決めている。感情まで満足させる