藻谷浩介/NHK広島取材班著「里山資本主義」

今年の冬、息子の福井の学校に行った際に、
肌寒かったので、福井の「アピタ」に立寄り、テナントで入っているユニクロでヒートテックを1枚買った。
ひとたびアピタの中に入れば、ここが福井なのか名古屋なのか、当然全く区別がつかない、同じ世界が広がっていた。
この時、何ら不便なく買い物ができる当たり前なことに、何か違和感を感じたことを覚えている。
人間が生きていく上で不可欠な「水」「食料」「燃料」。
そのうち、「燃料」の多くを外国に頼っている日本では、
高い技術力を身につけ工業製品を多く輸出し、グローバル経済で台頭してきた。
燃料と材料を輸入し、工業製品を輸出し、その工業製品で作られた繊維商品を輸入し、・・・
世界規模で回っていくお金、同質化していく流通、商品。
大きな、大きな、サイクルでぐるぐる回っている「大きな経済」。
その大きな経済にほころびが出始め、立ち行かなくなりつつある中、
今まで「大きな経済のほうを向いている政府や経済人」から、目を向けられてこなかった地方の資源をうまく生かして、
大きな経済のリスクヘッジとして、「小さな経済」も同時に回していきませんか、というお話。
グローバル経済(マネー資本主義)の対極にある「里山資本主義」。
大きな経済と小さな経済。
企業活動の連鎖(お客様を笑顔にする、という資本主義の根本原理の連鎖)を、もう少し小さく考えてみる、
ユニクロで買っていた服を近所の服屋さんで買う。大根が無くて困っていたお隣さんに、大根をおすそわけする。。。
最終的には物々交換にまで行き着く小さな経済。そこまでは極端としても、
規模の経済を追わず、もう少し身近な資源に目を向けませんか、と。
いま自分の給料は、どこかの国で販売された一台の車の利益が、回り回って自分の財布に入っている、ともいえる。
まあ自分だけではないにせよ、ほとんど多くの日本人が、この大きな大きな経済の恩恵の上で成り立っている。
なんとなく今の生活ベクトルを変えたいなあ、と感じて始めている自分にとってはとても参考になる話だった。

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