愛知県では5月26日に緊急事態宣言が解除され、それから数週間が経ち、家の周辺の道路は以前同様の渋滞が発生するようになっている。車の数は以前よりも多く感じるくらいだ。
街を走る車を運転する人の顔は、どことなく楽しそうに映る。
この数か月、自分はクルマ関連の広告コミュニケーションの領域で仕事をしている身として、コロナ禍によって人々の中で起きた「移動」や「クルマ」に対する意識変化について考えることが多かった。
会社で自主調査を行い、いくつか記事にもなった。
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1253257.html
コロナ禍によって、人々はクルマの価値を再発見した、という話。
外出が制限されることなんて今まで無かったわけだから、クルマのことに限らず普段の何気ない「外出」「移動」について、これほどまでに考える機会などなかった。
ましてや自分は基本的には家でじっとしていることが苦手で、すぐに出かけたがるタイプなので、わりと悶々としつつ、「おでかけ」について思いをめぐらせていた。
これから何回かに分けて、この数か月でいろいろと考えたことを、まとめて行こうと思う。
■■まずはクルマの価値が再発見された、ことについて。
会社で行った調査では、下記のような興味深いことが分かった。
・新型コロナウィルス感染リスク防止の観点で、クルマを安全な移動手段と認識している人が多い
・都市部居住者ほど、従来よりクルマ利用率が高まった人が多い
・コロナ禍を機にクルマが欲しいと思った人が一定数存在
クルマが感染防止の観点で安全な移動手段と認識された。
そしてそのことにより、 クルマが元来持っている「プライベート空間」という価値自体も再認識されたように思う。
普段からクルマを利用している人は、あらためて、一人で、あるいは大切な家族と安心して自由に移動できる 「空間」があることの喜びを感じた人も多いはず。
また、クルマは移動空間としてだけでない多様な使われ方もされている。
例えば小さいお子さんが居る家庭ではリモートワークもやりづらいようで、オンライン会議の時にはクルマに逃げ込む人もいるらしい。「駐車場パパ」なと呼ばれているようだ。
そういう人にとっては、クルマはゆったりと落ち着くことのできるサードプレイスかもしれない。
クルマは「家の延長線上」にある安心な空間だ。
実際、自分もクルマを運転するときはマスクを外し、ウインカーレバーにかけているし。もはやクルマは家の一部だ。
このプライベート空間というクルマの価値が、コロナが終息した後も引き続き強く認識され続ければ、クルマ市場が少しは盛り上がるきっかけになるかもしれない。
なぜなら、人は、長く過ごす空間にはお金をかけるはずだから。
カー用品の需要が高まるかもしれないし、クルマ選びの基準としてこれまではそれほど気にされなかった居住性(例えば、シートの座り心地とか)が重視されるようになるかもしれない。
もっというと、ここ数年で「所有から利用」に移り変わってきたクルマに対する価値観に、新たな変化の兆しが生まるかもしれない。
他にも、ドライブインシアター復活のニュースは良く聞くし、音楽フェスなどのエンタメもドライブイン形式で行われるケースもあると聞く。
このように、プライベート空間としての価値認識がポジティブに作用し、クルマがAfterコロナの生活変化や新しい文化を牽引してくれることを願う。