40歳のカンヌ(4)

「社会貢献」「社会問題解決系」「ソーシャルグッド」・・・
そんなワードが多く叫ばれたような気がします。
昨年席巻した「チポートレ」から続く、この流れは、しばらく続くのかしら。
さらに、今年は60周年だったので、
より「本質的な課題解決」に貢献した作品が選ばれた、とどっかのWEB記事でどなたかが言っていた。
つまり、「それは世の中にとってどう嬉しいのか」という高い視点とか、
あるいは人間誰もがもつ根っこの部分、たとえば家族愛とか、生命とか、美とか、
そんな本質的なメッセージをうたったものが多かったのかな、と。
ゴールドを獲得した中で評価が高かったように思うのは、南米のサッカー系。
これとか。

画像

献血への動機づけに、「サッカーチームへの気持ち」をうまく利用した。もともと赤と黒のストライプのユニフォームが、突然白黒のストライプに変わってしまう。
みんなが献血してくれれば、だんだん、白の部分が赤に変わっていく、っていう仕掛け。
このほかにも南米サッカー題材の社会貢献キャンペーンをいくつか目にした。
おそらく南米には、シリアスな社会問題が多いこととか、
そしてメディアの制約も日本と比べれば格段に少ないため、自由な手口が使えるのかな。
あ、あとこれ。

画像

保護犬の引き取り手の減少の問題を解決するキャンペーン。
里親になってくれる引取り手がなかなか見つからないのは、「保護犬は、しつけが出来ていないバカだから」という先入観があるから、という点を問題視。
そこで、犬を徹底トレーニングさせて、自動車を運転させてしまう、っていう。。。。その発想どこから??
社会問題というのは、ある特定の人の気持ちの「根っこ」の部分に「強く」存在しているもの。
解決したい課題は明確だし、
さらに受け手側に共通のインサイトが強く広く存在している。
つまり、コミュニケーションをしかける標的と刺さるポイントが明確。
だから、「鮮やかに解決したコミュニケーション」が発生しやすいし、
「世の中を動かした感」も出やすいんだろうな。
カンヌに来る前までは、
社会貢献系・ソーシャルグッド系の事例は、あんまり仕事の参考にならないと思っていた。
勝手に一般企業の広告とは線を引いて別物と考えていた。
でも、分かった。
日頃の仕事にも、すげえ参考になる。
解決課題とターゲットが超明確だからこそ、(ロジカルで追い詰め切れているからこそ)
アイデアのシンプルさ、とか、アイデアのジャンプ加減とかが凄い。
だから、逆にホント、すごく参考にすべきだなあ、と思った。